21世紀の地球社会は「国民国家から都市へ」という社会の大きなパラダイム転換を迎え、「都市の世紀」が始まろうとしている。
その際、ロンドンやパリなど、ニューヨークや東京と並んで「世界都市」と呼ばれる巨大都市のみが注目されるのではなく、人間的規模の都市でありながら独自の芸術文化を育て、革新的な経済基盤を持つ「創造都市」の動向に人々の関心が集まっている。
特に、「市場原理主義的なグローバリゼーション」に対する反省の契機となった「9・11テロ事件」以降は、ニューヨーク型の「世界都市」に対する評価は厳しくなり、「多様性を認め合うグローバリゼーション」への以降の中でどの都市も、芸術文化の創造性を高めることで、市民の活力を引き出し、都市経済の再生を多様に競いあう方向に向かっているように思われる。
バブル経済崩壊後の長期の不況から脱出できないでいる日本においても、「創造都市」や「文化による都市再生」への関心が高まっている。
金沢では経済界や市民が2001年に「金沢創造都市会議」を設立して、創造都市をめざした市民の運動を開始し、横浜でも2004年1月に市長から"Creative City Yokohama" プランが提案されて芸術創造都市への取り組みが本格化されることになり、また、長期不況の中で沈滞する大阪では、再生に向けた政策立案と人材養成をめざして、大阪市立大学に世界最初の大学院創造都市研究科が設立されるなど新たな動きが始まっている。
2004年2月には創造都市論の理論的指導者であるロンドン大学のピーター・ホール教授や、『創造都市』の著者チャールズ・ランドリー氏、そして、『都市の文化経済』の著者アラン・スコット教授ら創造都市に関する世界の論客を大阪に招いて「新・都市の時代――創造都市への挑戦」と題する国際シンポジウムが開催された。
日本で最初の本格的な創造都市に関する国際的討論の場となったこの会議では、欧米から創始された「創造都市」という新しい都市モデルが日本やアジアにおいても21世紀の都市モデルとしてきわめて魅力的なものであること、本格的な知識情報経済社会においては都市経済のエンジンは広義の文化産業である創造産業が中心的担い手になること、欧米のようにヒューマンスケールの中規模都市のみならず、大阪のような巨大都市圏の再生モデルとして政策的有効性があることなど意見の一致を見て、創造都市をテーマとした理論研究のみならず、実際の都市政策への応用など更に進化させることの重要性が指摘された。
こうした社会的要請に応えるために、創造都市に関するウェブ上での国際的な討論や実践的政策的な「交流の場」として創造都市ネットワークを開設することとした。
創造都市に関心を持つ広範な人々の出会いと「創造の場」となることを期待して。
大阪市立大学 大学院創造都市研究科 研究科長・教授 佐々木 雅幸

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